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お知らせ:コーヒー豆の価格改定につきまして (5/13 '11)

 大変恐縮ですが、6月1日よりコーヒー豆の販売価格を改定させていただきます。

 コーヒーの相場が急騰しています。今年に入り、多くの新聞やニュースなどで、コーヒー相場の高騰について取り上げられましたので皆さんご存知かと思います。その時期(1月下旬頃)の相場がニューヨーク先物取引の価格で1パウンドあたり250セントの大台に向かうのか?という状況でした。最近は震災の報道などであまり取り上げられていませんでしたが、相場はその時よりさらに上昇を続けており、今月初めには、ついに300セントにまで急騰してしまいました。昨年5月頃までは、概ね1パウンドあたり110〜140セントで推移していましたので、現在は昨年の2倍の水準となっています。(直接農園と取引する際の価格も、この相場の価格を基準にしているので上昇しています。ですのでスペシャルティグレードの豆はかなりの高値水準となってしまいました。)

 このままコーヒーの相場は上昇し続けるのでしょうか?過去の相場を振り返ると、コーヒーの価格は上昇と下降のサイクルを繰り返しています。1997年には今の水準と同じくらい高騰しています。しかし、それからわずか数年後、2000年初めには「コーヒーの危機」と呼ばれる史上最安値の水準まで暴落しました。2001年には、1パウンドあたり42セントという安値を記録し、このような低迷した相場では、生産者は生豆を販売しても利益にならず、借金返済のため農園を手放したり、食料を買う余裕すら失ってしまった労働者も多くでました。その後、生産者に最低限の価格を保証する「フェアトレード」の動きも広まりました。

 「コーヒー学のすすめ」という本によると、ブラジルコーヒーの生産が過剰だった時期、市場への供給過多を防ぐため、コーヒー生豆の大量廃棄が行われたことが複数回あるようです。特に1930年から44年の間には、7800万袋以上の大量の生豆が、海に投げ捨てられたり、焼却されたりして廃棄されました。大変な苦労をかけて栽培したコーヒー豆を、大変な労力をかけて廃棄せざるをえなかった生産者の気持ちはどうだったのか想像つきません。

 世界中のコーヒーに関わる人々が、コーヒー相場の変動に翻弄されてきました。これまでのコーヒー相場に変動を与える要因は、供給面によるところが大きかったと思います。ブラジルなどの主要なコーヒー産地で豊作となり供給が増えると価格は下がり、霜害が起きてコーヒー生産に大打撃が起きると価格は高騰してきました。

 これからのコーヒー相場はどうなるのか?という問いですが、多くの関係者は、上昇基調あるいは高値で安定していくとみているようです。過去の市況と異なる点は、まず需要、特にブラジル、ロシア、インド、中国などの新興国での需要が急速に伸びていることが挙げられます。ブラジルでは国内需要が旺盛で、今まで輸出されていた高級なコーヒーを自国で消費するようになり、アメリカと並ぶ世界一のコーヒー消費国となりつつあります。「全日本コーヒー協会」のホームページによると、ブラジルのアラビカ種の生産量は前年比26.7%増という増産にもかかわらず相場は上昇しています。これまでの常識では、ブラジルの増産は相場の下落につながっていました。次に、供給面からみると、コーヒーの生産量は最近の異常気象により不安定な傾向にあるようです。主要な産地であるコロンビアでは、ここ数年の生産量が低く、2007,8年の3割減の水準となっています。私が昨年訪問した農園でも、雨季と乾季があいまいになっていたり、突然の豪雨などで品質や生産量の低下に苦労している、という話を聞きました。さらに、それら需給関係に対する投機資金の流入が相場を押し上げる形となっています。

 現在は売り手市場で、利益を享受できる生産者も多くなっているかもしれません。しかし、ほんの10年ほど前の「コーヒー危機」の時代には、栽培したコーヒー豆に、自らで値を付けることができない生産者は、生産コストすら回収できない安値で取引されたため、泣く泣く収穫を断念した、という事も多かったようです。一方で、我々消費国の販売者は、ある程度自由な価格設定が可能です。また、コーヒー生産が外貨獲得の重要な手段となっている国々、コーヒー生産が唯一の収入の手段となっている労働者にとって、コーヒー豆の収量と質、取引価格は死活問題に直結します。時には紛争の火種になりかねません。

 以外に思うかもしれませんが、素晴らしいコーヒー豆の産地で美味しいコーヒーが飲めるとは限りません。外貨獲得の大事な商品である高級な豆は輸出に回され、質の低いものが国内消費用に回されます。(上述のブラジルでは、今まで輸出していた高級な豆が自国で消費されるようになっています。)そして、多くのコーヒー栽培に携わる人々は、自分達が作ったコーヒー豆が最終的にどのように消費されるのか知らずにいます。私達も、1杯の珈琲となって手元に届くまで、どれほど多くの手順や人が関わっているのか想像つかないと思います。

 コーヒーは嗜好品であり、たとえなくとも生活できます。ですが、1杯の珈琲には、毎日の生活をほんの少しでも豊かにさせる可能性があると思います。そのためには、手塩にかけて育てられ遥々遠くからやってきたコーヒー豆達の、その素晴らしい潜在力を、できるだけ最大限引き出してあげ、美味しいコーヒーに仕上げなくてはなりません。今回の価格高騰をきっかけに、当店の目標を再確認できたと思います。

 長くなってしまいましたが、当店でのコーヒー豆販売価格についてです。上述のような状況下、まだ販売価格は据え置いておりましたが、既に入荷している新年度の生豆(ニュークロップ)の仕入れ価格は昨年度よりも高い水準となっております。できる限り値上げしないよう努力してまいりましたが、限界を感じつつあります。つきましては、当店をご利用してくださる皆様には大変申し訳なく思いますが、6月1日より、コーヒー豆販売価格を引き上げたいと存じます。しかしながら、仕入れ価格をもとに、極力抑えた適切な価格となるよう引き続き努力する所存です。恐縮ですが、何卒ご理解くださいますよう、宜しくお願い申し上げます。 

 また、これを機に、世界中からやってくる最高水準の素晴らしいコーヒーを通じ、少しでも大きな感動を皆様に与えらえるよう、いっそうの努力をいたしたいと存じます。